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 さて、第三回目の今回は、蕎麦庖丁(2)です。
前回を簡単に復習しますと、蕎麦庖丁はステンレス製と鋼製の2種類があり、それぞれに1枚物鋼と付け鋼とに別れるのが特徴です。その中で、蕎麦職人を始め、こだわりのある方がお使いなのが鋼製の付け鋼です。庖丁のお値段は高いですが、切れ味と耐久性が最も優れている事で、一番支持されている理由だと思います。

今回は、この鋼製の付け鋼について、もう少し掘り下げます。
この包丁は、一本、一本を手作りで製作している為、製作日数は掛りますが、包丁の長さ、重さ、バランス、包丁の握り柄がご希望通りに製作可能です。その為、蕎麦職人さんの多くは、御自分の蕎麦の切り方のスタイルに合わせて、マイ包丁を購入されます。10人の方がいたら、10本の違うタイプの庖丁を選らばれるのが普通です。
蕎麦打ちは、流派や師匠の打ち方で、包丁の使いやすい重さやバランスも変わります。下記に簡単な庖丁選びの基準を書きたいと思います。

庖丁の重さ』自分の切り方のスタイルが、包丁の重さで落として切っていくスタイルなのか、軽い重さの包丁でスライドさせながら押し切りしていくのかで、包丁の重さの選び方が変わります。
重さで落としながら切るなら950g以上の包丁がお勧めです。スライドさせて押し切りさせるなら、900g以下の庖丁がお勧めです。

庖丁の長さ』蕎麦打ちの量によって、長さが変わります。500g以下の蕎麦粉なら、270?以下の包丁でも良いと思います。1kg以上の蕎麦粉でしたら、300?以上の庖丁をお勧め致します。もっとも、蕎麦のたたみ方でも多少庖丁の長さは変わりますし、長い包丁で少ない量を切る事が出来ますが、短い包丁では限界があります。2kgの蕎麦粉でも最大で360?位の包丁があれば問題ないと思います。

鋼製の付け鋼の蕎麦庖丁庖丁のバランス』鋼製の付け鋼は、手作りの為バランス的にも優れております。庖丁を上方向から見た際に鋼の厚みが一定ではないのも特徴です。鋼製の一本鋼か付け鋼なのかの見分け方で一番わかりやすいのが、この厚みです。庖丁の先から持ち手の方向に向かうほど、厚みが厚くなるのがわかります。鋼製の1枚物鋼の蕎麦庖丁
基本的には、包丁は多少前が重い方が使いやすいです。その方が、包丁が自然と前に出てくるからです。若干後ろを重くするなら、持ち手を前に近付けて持てるように切り込みが深く入っている庖丁をお勧め致します。
(写真上:鋼製の付け鋼の蕎麦庖丁 『NHK蕎麦教室たかさごモデル』長さ300mm 重さ930g ソバリエ講師のたかさごさんと製作した藤下新次氏作の庖丁、柄に近いほど厚みがあるのがわかります。切れ味と耐久性、バランスが素晴らしいです。
写真下:鋼製の1枚物鋼の蕎麦庖丁 『磨き安来鋼』長さ300mm 重さ708g ステンレスと同じ製法の為、先端から柄の部分でも同じ厚みなのがわかります。ステンレスよりは切れ味と耐久性があり値段も手頃です。)

庖丁の柄』価格的に安いのは、ロープ巻きです。滑り難く、簡単に巻き直しが出来ますが、定期的に洗濯をしないと蕎麦粉がこびり付きます。木柄は、清潔で手に合わせて太さや大きさも可能です。白木のままでも、漆塗りや塗料塗りにも対応でき、バリエーションも豊かです。木柄によって金額が異なります。一番滑らない柄は、鮫皮巻きです。白い鮫皮や黒い鮫皮があります。鮫皮と言っても、実際にはエイの皮を使用しているのは余談です。

庖丁職人』鋼の材料が同じでも、庖丁職人によって金額は異なります。その分、切れ味や耐久性はお値段の高い職人さんの方が良くなるからです。一見、包丁の見た目が同じに見えても、腕のある職人さんの庖丁では数万円以上の金額の開きも出てきます。どこの職人さんがお勧めなのかは、ご予算と使用方法で、お店の方と納得いくまで相談するのをお勧め致します。

蕎麦庖丁のお手入れは、使用後に蕎麦のカスを濡れたタオルで拭き取って下さい。その後に、乾いたタオルで乾拭きをします。収納する場合は、新聞紙に包むと新聞紙の油が、錆を防いでくれます。
蕎麦包丁は片刃が基本ですので、斜めの方向を20回程研いだ後に、逆側を2回程研ぐ感じです。使用する砥石は、天然の砥石のみが良いですが、直角が出しやすいダイヤモンドやセラミック砥石と併用するのもお勧めです。

次回の第四回目は、麺棒のコラム?となります。
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